何故だ…我等は学長の命令により、遅刻したというのに。 学長は、我等を遅刻させようと企んでるのかもしれん…。 リオ「…むむむ。」 セリス「…?」 …セリスが心配そうに、こちらを見ている。 …可愛い…可愛いが…今の状況は、我にとって非常に不愉快なのだ。 …周りには席は、あるが…生徒はいないのか…。 流石、魔界。 フリーダム!!! セリア「学長の所為とか言っても遅刻は遅刻だからね〜♪」 …この鬼畜女め…。 セリア「…そんなに遅刻を今日の分、無しにしたい?」 リオ「うむ…できれば…そうして欲しいのだが。」 これはチャンスかもしれん。 セリア「アンタ、魔王なんだってね。」 …何故、この先生は我の情報を知っているのだろうか。 セリア「『心読』っていう術で、キミの思ってること、バレバレだから。」 リオ「そんな術があったのか…流石は別魔界。」 そんな事はどうでもいいのだ。 リオ「どうすれば、今日の分の遅刻を帳消ししてくれるのだ?」 セリア「私はね、戦いが好きなの。」 戦闘狂か、コイツ。 リオ「……貴様に戦って勝てば、帳消ししてくれるのか?」 セリア「そゆこと。」 …面倒な事になってきたぞ…。 セリア「そう言えば、セリスちゃん。」 セリス「何?」 セリア「学長からの支給品ね。まぁ、リオ君が授業料と一緒に払った物なんだけど。」 …何!!! セリア「ブラッドムーンリングとムーンリングね。」 セリス「…?」 セリス…状況把握しとけ。 セリア「ムーンリングは”夜の性格…つまり、セリス本人の性格…まぁ、魂の片割れだけど、性格上は本人の魂を強制的に体に依存させる”魔道具ね。」 セリス「…なるほど。」 御前、関心なさすぎ。 セリア「んで、こっちのブラッドムーンリングは”二魂分裂前の状態の魂を体に強制依存させる”魔道具なのよ。」 セリス「…普段はどっちを装着すればいい?」 …そうだな…。 セリア「リオ君が決めてくれるよ♪」 空気読めてるぞ、先生。 我は感心したぞ。 リオ「二魂分裂前の状態の御前は、大多数の大天使共に狙われかねない状況に陥る可能性が非常に高いと我は確信している。」 セリス「それは、分かってる。」 リオ「だから、御前はムーンリング…つまり、ただの明るい性格で純白の八つの翼を持つ、神天使の状態でいれば良いと我は思うぞ。」 セリス「分かった。」 理解してくれて我は嬉しいぞ。 セリア「神天使ねぇ…天界から狙われてるの?」 リオ「うむ…我が護ってるのだが。」 実質、天使如きに負ける程、我の力は鈍ってはいない…尚且つ、セリスを護る為に防御性と攻撃性、俊敏性も超強化したしな。 セリア「…大天使相手も大丈夫なの?」 大天使とは3000年前に戦っただけだからな…奴等が本気を出してるとかすら、我は把握できてなったし…。 リオ「それは…解からないが…我はセリスを護ると誓った…故に護っているだけだ。」 セリア「ふ〜ん、護れる力…守護の加護は私がセリスちゃんに、付加しといたから安心といえば安心だけど…」 …は? リオ「貴様…何時の間に加護をセリスに…!!」 油断できん女だ…。 セリア「キミを売店にテレポした時の魔方陣あったでしょ?」 あったな…そんなの。 リオ「それが、どうしたのだ?」 セリア「その魔方陣にセリスちゃんの身体に守護の加護を付加する形式の式を追加してたのよ。」 準備がいいな。 セリア「セリスちゃん?腕輪の調子はどう?」 セリス「うん…大丈夫。」 リオ「あの変態学長め…。」 セリア「学長は、”刹牙の魔王”級に強いから、変な事言うと…死ぬかもよ?」 ん?刹牙の魔王…童話で聞いたな…その名称は。 リオ「気になっていたのだが…」 セリア「ん?」 リオ「貴様は何者なのだ?」 セリア「そうねぇ…聖女であり、刹牙の魔王でもある者よ。」 …聖女…刹牙の魔王…どれも、我が約5800年前に読んだ童話の名称だな…。 セリア「ある者は”戦闘狂”と呼ぶし、”聖刻金色の魔王”とも呼ぶわね。」 刹牙の魔王は… 全てにおける魔の母と呼ばれし存在だったな。 聖女は… 魔を滅ぼす存在…と聞いた覚えはあるが… 聖刻金色の魔王…コイツも童話でしか見た覚えがない。 セリス「リオくん、聖刻金色の魔王はね?」 知ってるのか…我の知識不足だな…。 セリス「聖女と刹牙の魔王の融合体みたいな者なの。」 …ちょっと待て。 強すぎだろ!? そんな奴と遅刻を帳消しにする為に、我は戦おうというのか!? セリア「私の主属性は太陽だからね〜♪まぁ、容赦しないけど。」 リオ「もう、遅刻扱いで良いとか、我は思ってきたぞ……。」 セリア「男に二言は無しよ。」 鬼畜だ!!! リオ「くそ…誰だ、遅刻を帳消しにしろなどと言った輩は…。」 セリア「キミだよ?」 即答かよ…事実を認めるしかないのか…。 セリア「戦闘フィールドは、既に構成してあるからね〜♪」 殺る気マンマンか!? セリア「理術ってヤツが、どこまで私に通用するのか知りたいしね〜♪」 …む。 セリア「スペル型なんでしょ?」 呪文詠唱型だな…。 セリア「私は、速攻発動型だから、呪文詠唱無いのよ。」 術の改良しすぎだ…我より危険かもしれん。 セリア「じゃ、校庭で待ってるからね〜♪」 …負けたら、セリスに申し訳ないしな…戦うしか無いか。 我は、奴に勝つ事ができるのだろうか…。 第五章に続く。