-神界-(語り部:みかん)

ヘブンズゲートは闇の強力な結界で護られてたみたいだけど、
理術のお陰で、簡単に解除できた。
…グロウの気配がするとは忠告したのはいいけど、実際は"グロウっぽい気配"がしただけで断定はできないんだよねぇ。

ミカ「…みかん、どうしたの?
   気難しそうな顔してさ。」

…あ。
ミカに感付かれそうになった。

みかん「いあいあ、なんでもないよ☆」
セリア「アンタが沈黙してると、怖いからやめてね。」

酷い言われようだなぁ。
まぁ、いいや。
どうせ、"門"を潜ったところで"塔"を登らないと行けないし。

みかん「前方に塔っぽいのが見えるお☆」
リオ「神の塔か…久しぶりだな。」

リオは此の塔について知ってるみたいだね。
ちょっと、聞いてみるか。

みかん「なんか知ってるのかい?」
リオ「いや…外見からしか見てないから我も分からん。」

…情報得られず…か。

セリア「便利なこともあれば、不便なこともあるリオね。」
リオ「…。」
ミカ「…えっと…とりあえず、登らないといけないんだよね?」
みかん「そーなるね☆」
セリア「じゃぁ、皆で行きましょう。
    此処に誰かおいても戦いになりそうだしね。」
みかん「ほいほい☆」

…。

ミカ「神の塔の外側から登っちゃダメなのかい?」
みかん「登ってもいいけど、辿りつけないね☆」
セリア「…っていうか、何処に向かってるのかしら。」
リオ「グロウの居る所だろう?」

いや…それはそうなんだけど…。
まぁいいや、行こう。

みかん「れっつごーだぜ☆」
セリア「…。」

-神の塔内部-(語り部:みかん)

…。

セリア「…ねぇ。」
みかん「んう?」
セリア「何階層まであるの?」
みかん「入口に魔眼しないと見れない階層図解みたいなのあったけど、10階層みたいだね。」

10階登って、神界の上層部に行けるか分からんけど。
グロウが空間を書き変えして迷路にしたり、階層を増やしたりするだろうし…。

ミカ「…おい、セリス。」
セリス「はい?」
ミカ「御前、確かリオが修行している間に天界で住んでたんだよな?」
セリス「リオ君と一緒でしたけどね。」

…セリアの鬼畜修行されてた時か。

ミカ「黒い兵士なんて…いたか?」
セリス「ぇ?」

眼の前には、黒い鎧を纏った兵士が10…いや100…?
…亜空間化されて訳の分からん程の兵士が居た。

ウィリ「あぁ…神界にちょっと前から住み始めた天使の下種に相当する兵士だな。」
ミカ「…知ってたのかい。」
ウィリ「私に聞かないので、スルーさせてもらっていた。」
ミカ「オイ。」

…小さな声だけど、聴き逃さないのが私。
情報は重要だからね。

…さっきから後ろがうるさいけどね。

リア「オイ、創主。
   いつまで俺は、此の糞餓鬼の手中にいればいいんだ?」
ウィリ「なんだ、適合者であるセリスの下に戻りたいのか?」
リア「…まァな。」
ウィリ「…御前の気持ちも分からなくはないが、まさか…"邪剣"の使い手が適合する者がセリスか…。」
リア「まさかもクソもあるか、あの糞餓鬼は失われた十六の神具ぶきの一つである"夢幻"を所持してるぞ?」
ウィリ「…適合は?」
リア「してるな、"夢幻"の方から何も話してこねェから、此れは俺の憶測だけどな。」

失われた十六の神具ぶき…か。
何それ?
…っていうか、セリアちゃんが敵を倒しまくってるんだけど…。

リオ「…?」

…リオに感付かれたらヤバイ。
少し黙っとくか。

リオ「…失われた十六の神具ぶきは…確か修羅姫ゼクスが所持していた一六の真神界の神具だったらしいな。」
リア「そうだな。」
ウィリ「真神界は真天界と何所かで繋がってるらしい。」
アルト「…昔に兵を連ねて細かく調べたが、何処が真神界に繋がっているか行方知れずだがな。」

…。

ミカちゃんとセリアちゃんが先頭切ってズカズカ進んでいた。
先に行くのは良いんだけど…大丈夫かなぁ。

アルト「我らの手中には、"失われた十六の神具ぶき"の中の3本ある訳だ。」
リオ「3本でどうにかなるって話ではないだろ?」
アルト「私が知っている範囲では、グロウ軍は複製した神具を渡している筈だからな。」

…え゛。
それは…こちらが不利という事になるよね?

リオ「…そういうことになるな。」
ウィリ「…不利な状況だが、打破せねば自軍が滅びるぞ。」
アルト「我が娘が、何とかしてくれると信じてるよ。」
ウィリ「…御前も戦うんだけどな。」
アルト「まぁ…ね。」

あれ…?
心読ってリオ…できたっけ。
アルトの娘がセリアちゃんだって事は、ちょっと前に分かったけど…。
っとなると聖王族の部類になるんだよね。

…面倒な事にならなきゃいいけど。
…って、セリアちゃん達いなくなってるし…。

みかん「セリアー?ミカー?」

返事がないな…。
孤軍奮闘はやめろって昔…忠告したんだけどなぁ…まぁ、昔の話だし…忘れてるよね、うん。

リオ「先生共、消えたのか?」
みかん「うん。」
アルト「流石、我が娘。」
ウィリ「流石って…御前…。」
みかん「下の方から魔力感知するから、地下にいるね。」
リオ「ならば、地下に行くか。」

…っと言うわけで、ぼく達は地下に向かう事になりました。
面倒だけどね。


-神塔地下牢屋内-(語り部:ミカ)

…。
セリアの所為だな、うん。

今私たちは、両手両足にロックを掛けられて動けない状況にある。
…どうしてこうなった。

セリア「アンタの所為でもあるわよ。」
ミカ「いやいや、セリアが勝手にズカズカ進んで行く方が悪いと思うけどね。」
セリア「…考慮するわ。」
ミカ「そう言う人って、全く考慮しないけどね。」
セリア「…。」
ミカ「…。」

まさか…私達が落とし穴にハマるなんてねぇ…。
魔力で押し潰す形の落とし穴だったから、真下に堕ちたんだけどね。

セリア「堕ちた先が地球界の何所かなのよね。」
ミカ「地球界を突き破って神の塔が建ってるなんて、予想外だよね。」

…さっきから、誰か知らん鎧を装甲したオッサンが文句を言ってくる。
スルーしてるけど。

番人「うるさいぞ。」
セリア「御前がうるさい。」
番人「えー…。」
ミカ「うるさいって言うなら、私達を出してよ。」
番人「グロウ様の命令で、其れはできない。」

…面倒だなぁ。

セリア「…アンロック。」

ガチャ…。

…外しやがった。
おい、其の呪文何で使えるんだ。
此の地域は魔術厳重封印されてて、私は魔術が一切使えないんだぞ。

セリア「…♪、ついでに、ミカもアンロック。」
ミカ「サンクス。」

…さて、セリアが感付いてるか分からんが…奴が持っている武器から怪しげな気配がするんだよなぁ…。

番人「外したか…我等からすれば其れは予想内だ。」
セリア「…へぇ。」
番人「我は17本ある"闇具ぶき"の一人だ。」
ミカ「名前は?」
番人「無い、グロウ様の分身だからな。」

分身…!?

ミカ「…で、其の腰にぶら下げている17本の内の1本である神具で私達を処分するって寸法か。」
番人「…。」
セリア「図星ね。」

あれ…17本の武器?
何か聞き覚えがあるなぁ…大昔の話だったような…。

セリア「絶剣ギアブレードの餌食になるがいいわ。
    GAER LIMIT MAX RELEASE。」
番人「絶を司る剣か…"創ってはならない武器"の一つだな。」

昔、神の法廷で"絶を司る剣を創る事を禁ず"とかあったなぁ…。
絶を司る剣って、神界の奴らからすれば危険因子たる物なのか?

セリア「…来てもいいわよ?」
番人「そうか…我が"神核"の威力を知るがいい!!」

神核…?
"失われた十六の神具ぶき"の一種か?
いや…あれは持ち主以外抜けない筈…。
だとしたら…レプリカか?

番人「純神核闇創破!!」

荒れ狂う巨大な砲撃系魔術…神核の補正により、威力絶大。
己を砲口とし、撃ち込む術だったな。
…セリア…大丈夫か?
私は、音速で相手の背後に回ったけど。

セリア「…フルギアブラスター!!」

絶剣ギアブレードのギアを限界まで上げて攻撃する最終奥義か。
…呆気無く敗れたけど。

セリア「キャァアァアアア!!」

セリアは壁やら牢屋の鉄格子やらに全身を強打され気絶。

うわぁ…。

とりあえず、斬ってみるか。
私の"創魔(レプリカ)"で。

キィィン!!

ミカ「…。」

あれ…砕けた?
主力剣なのに。

ミカ「マナの洸矛!!」

地下の部屋をマナの矛で埋め尽くす。
…が、番人は"神核"を振い全てを弾いた。
っと言うよりは、"神核"の周囲にある魔力が掻き消されていた。

ミカ「こうなったら…闇創魔鎗ッ!!」

相手の魔核を撃ち砕く破壊力を持つ火力重視の闇創系魔術。
これが敗れたら、ヤバいかもしれない。

番人「…闇神核破!!」

私が射た闇の鎗を打ち砕き、私の魔核を砕いた。

ミカ「クソがっ!!」
番人「さぁ、どうする?」

闇創結界でも張るか…?
いつまで持つか分からんけど。

ミカ「身は闇に、闇は永久とこしえに…闇創神の名の下に守陣を構成せよ!! 闇創結界!!」

辺りの魔粒子を従えて守護の陣を張ったけど…みかん達早く来ないかなぁ…。
…武器が粉々に砕けて、倒せなくなったからなぁ…。
毛描き張ってる間に魔核修復しなきゃ。

20分経過…。
ガガガガッ!!

ミカ「…。」

早く来ないかなぁ。

1時間経過…。
バコッガガッ!!

ミカ「私、結界術強かったんだなぁ。」

4時間経過…。

番人「ゼェ…ゼェ…。」
ミカ「諦めないかな…。」

…よし、魔核の修復完了っと。
セリアちゃん起きろよ…。

番人「まだ舞える!!」

やめてくれ…。

10時間後…。
ガガッズドドドッ!!

…。
やっと来たか。
………何故かみかんだけだが。

みかん「おぉ☆やってるねぇ☆」
番人「誰だ!!」
みかん「えっ…ん〜…誰って…まぁいっか☆ ギガ・ブレード!!」

みかんの手に魔力で構成された黒い魔力剣が出現した。
其れを番人に向かって振りおろし、魔力を爆発させて、地下をぶっ飛ばした!!

ミカ「おい。」

地下の部屋をぶっ飛ばすと同時に、番人の持っていた"神核"が粉砕された。
…っと更に番人が魔粒子化して消えた。

みかん「HAHAHA☆ 起きろセリアちゃん☆」
セリア「…倒したのか。」
みかん「うん☆ いやぁ、ぼくの所為で地下部屋が壊れそうなのよね☆」

…まぁ、あんだけ爆発を起こしたらねぇ。

みかん「そぉれ、テレポ☆」


-神塔最上階-(語り部:リオ)

…。
来たか。

リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりて小林川みかんの転移先を我が下に変更せよ!!」」

シュン…。

ミカ「みかんの到着が遅いと思ったら、塔を攻略してたのか。」
みかん「だいたいそんな感じだね☆」
セリア「…。」

セリア…身体に傷が結構あるな…回復させてやるか。

リオ「我、名をリオ・ヘスティミア。理と法…全と一を統べる使い手となりてセリア・ヴィ・レン・ファグナの傷を塞げ!!」
セリア「…ども。」
リオ「あぁ…。」
セリア「私の本名其れだったのね。」
ウィリ「…。」
リオ「今さっきまで傷だらけだったが、何者と戦っていたんだ?」
ミカ「"失われた十六の神具ぶき"を闇に染めた複製版を持ってた奴かな。」
リオ「そうか…。」

…。

ミカ達が何か話してるな…。

ミカ「リオがセリアの本名知ってるとは…。」
ウィリ「私がギアブレードの解放時の権限解除で名前を言ったからだろうか…。」
ミカ「其れだ。」
ウィリ「其れか。」

みかん先生がケラケラ笑っている。
此の人の顔は毎回笑っているが、何を考えているのか分からん。

みかん「自然に名前言ってて、ぼくはハラハラしたよ☆」
ミカ「私は、アンタの発言に毎回ハラハラしてるよ。」
みかん「そーいえば、塔を攻略し終えたときに、第二のヘヴンズゲート見つけたんよ。」
ウィリ「真天界への道だな。」
アルト「道って言っても結構広い場所に出るんだけどね。
    昔から神々の闘技場としても使われていたらしいがな。」
みかん「っとなると、敵に遭遇してもおかしくないよね☆」
ミカ「準備は怠るなって事か。」
セリア「…さて、行くわよ。」

第二十五章に続く